大塚せつ子と白神こだま酵母

今から800万年前、日本海が隆起してできたといわれているのが、秋田県と青森県にまたがる白神山地です。

1993年12月、屋久島とともに日本で初めて世界自然遺産に指定されました。

世界最大級ともいわれる白神山地のブナ林は、およそ8000~9000年ほど前からその形成が始まったといわれています。

つまり縄文時代からブナ林が形成されていたということになります。

世界的なブナ林のほとんどが「冷温帯地域」に分布しているのも関わらず、白神山地のブナ林は一年のうち半年も雪で覆われる豪雪地帯という極めて珍しい環境にあります。極寒の地であるがゆえに1万年ともいわれる悠久の時をかけて、人為的な影響を受けず源流域を中心に固有遺伝子をはぐくみ、そして守り続けてきたのでしょう。動植物はもちろんのこと、何兆種類ともいわれる微生物の宝庫としても貴重な世界の財産であるといえます。

1997年、秋田県の小玉健吉工学博士と秋田県総合食品研究所(現秋田県総合食品センター)の共同研究によって、白神山地から採取された腐葉土から製パン用の酵母菌が発見されました。それが「白神こだま酵母」です。

白神山地は緑のダムとも呼ばれ、ブナ林に降った雨は何層にも重なるそのブナの葉のじゅうたんを通り、大地に浸み込んで多くの栄養分を溶かし込み、豊かな水となって私たちに多大な恩恵を与えてくれます。そのブナの葉の分厚い絨毯、腐葉土となった中に「白神こだま酵母」は生きていたのです。

1999年5月25日
大塚せつ子はその「白神こだま酵母」を朝日新聞の記事(上記事)で知るところになりました。
この記事を読んだとたん、それまで焼いていた天然酵母のパンと全く違うものだという確信が持てました。そして、すぐにでも「白神こだま酵母」の正体を知りたかった私はすぐに、秋田県の研究所へ連絡しましたがケンモホロロに断られました。
「この酵母は秋田県人のために研究開発された酵母ですから、県外不出です」

さて、そこから半年をかけていろいろなことがあり(ご興味のある方は、大塚せつ子のアメブロ~白神こだま酵母ブランディング忘備録~をご覧ください)
秋田県外で初めて、白神こだま酵母が私の手元にやってきてくれました。
最初に包みをあけたとき、雨上がりの森の香りがしたのを今でもはっきりと覚えています。
早速試作にとりかかると、今までの天然酵母の作り方でもうまくいかず・イースト菌と同じ工程でもおいしいパンは焼けませんでした。
試行錯誤の結果、つかまえた温度が生地を35℃に捏ね上げること。
生地量が多い場合は、発酵終点(発酵が完了したときに)が35℃に調整することだったのです。

もともと酵母菌は、アルコール分解をして「味」や「香り」を作り出す力と、炭酸ガスを出してパンをふっくらさせる力を持っています。
でも、一般で売られているインスタントドライイーストは、突然変異で発酵力が強く味や香りを作り出さない酵母菌(イースト)を選びました。発酵力が強いということは、発酵が早いということで短時間にたくさんのパンを焼くことができるのです。そして、味や香りは作り出さないから「足し算のパン作り」つまり、人工的に味をつけるパン作りになりました。
対照的にいわゆる天然酵母と呼ばれている酵母菌は、発酵力は弱いのですが味や香りがその個性を楽しませてくれます。でも、発酵力が弱いため固いパンになりがちです。
その、両方の欠点を補ってしまったのが「白神こだま酵母」でした。

白神こだま酵母の好きな環境を整えてあげることによって、発酵力も強く、こだま酵母独特の味や香りを作り出してくれるのです。

こだわりの材料を最低限だけ使い、最大限においしいパンを焼く
大塚の「引き算のパンづくり」はここから始まりました。

おかげさまで誰よりも、どこよりも「白神こだま酵母」でおいしいパンを焼く技術を開発したことにより、小玉健吉工学博士や秋田県総合食品研究所の高橋慶太郎先生に認めていただき、紆余曲折・たくさんの難題を乗り越えて、白神こだま酵母の県外不出の重い扉を開くことができました。

そして、平成13年5月24日、白神こだま酵母のために秋田県を本店とした株式会社サラ秋田白神を創立し、全国の皆様に秋田県の財産である「白神こだま酵母」をお伝えすることになったのです。
当時は、国産小麦と白神こだま酵母のパンを皆様に広く召し上がっていただいておりましたが、ある時小麦アレルギーの子たちとの出会いにより、平成24年4月に株式会社サラ秋田白神を後継者に譲り、新たに株式会社ライステラスを創立し、日本のおいしいお米の可能性をお伝えする道を選びました。

何ということでしょう・・・・縄文時代から形成された白神山地のブナ林で命をつないできた「白神こだま酵母」と弥生時代から始まったといわれている農作「米」が、21世紀に出会ってグルテンフリーのおいしお米のパンを焼いてくれるのです。
白神こだま酵母と21年前に出会った理由が、今私にもはっきりとわかります。
これからも、今まで以上に白神こだま酵母の力を信じて不可能を可能にする挑戦を続けていきたいと思っています。 


白神こだま酵母技術アドバイザー 大塚 せつ子


高橋慶太郎先生と大塚せつ子
(秋田県照合食品研究所前にて)


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